西田俊也の本として本屋に並んだ本たち
ジャンクライフ
高校の文化祭で8ミリ映画を撮ることになった高校生たちの青春グラフィティ。舞台は奈良。時代は1975年の夏。小説の主人公たちは高校一年だが、同じときに中学三年生だったぼくは、奈良で8ミリ映画を実際に撮った。要するに自伝的小説というわけだ。モデルとなる人物は少なくない。
発表は『両手のなかの海』のあとになったが、書かれたのはこちらのほうが先だ。『オオサカンドリーム』を書いたあと、マンガや映画の世界と関わっているうちに小説の仕事がぱたっと途絶えてしまった。もうこのままやめることになってしまうのかなという危機感。そうなるのならいつか小説に書きたいとずっと思っていた自分の体験を最後に残したい。たとえ世の中に発表することができなくても自分のために読みたい。書いている途中に学生時代映画を撮っていた同郷の若い友人が急死した。しばらく執筆が止まった。食べるために変名でノベルズを書かなければならなかった。なんとしてでも書き上げたかった。運動嫌いの自分が初めてジムに通い、毎日走り、泳ぐ生活をつづけて、体力を味方につけた。頼れるのはそれしかないという感じだった。
執筆は楽しく、このときほどの楽しさはそれ以前も以後もない。内容にもその思いがあふれている。手応えが十分に感じられる仕上がりだった。
summer of cinema(1)
summer of cinema(2)