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失踪したエリートサラリーマンだった父が四年ぶりに帰ってきた姿は、ニューハーフだった。進学校に通う一人息子一海(かずみ)は驚く。母は出張で家にしばらく帰ってこない。父の変貌は知っているのだろうか。一海の戸惑いの日々が始まる。しかし父には父の隠された事情があった……。
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『オオサカンドリーム』を書いたあと、大阪のニューハーフ・ショーパブの人たちに取材して、彼女たちの青春グラフィティを書くなかでできたアナザーストーリー。
家に帰ってきたら玄関に大きな赤いハイヒールが置いてあり、でかいなあと思いながら、母親の知り合いだろうかと居間に行くと、厚化粧の太い女が座っていて、アクセサリーをじゃらじゃら鳴らして、はーいと手を挙げて野太い声で名前を呼ばれるというシークエンスが書きたかった。 執筆は一年近くかかってけっこう苦労した。なまじ取材した知識がありすぎて、客観的に物語化できなかったからだろう。書き上がらないのではと嘆くこと数知れず。鬱病一歩手前まで状態は逼迫した。最後に選んだのは映画の脚本として書くことだった。途中までやったところで軌道に乗り、小説に書き直していった。
これを生涯の一本と挙げてくれる人は少なくない。 |
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